国籍法違憲判決④
疲れてきたので、意見類は大変面白いのですが、要点だけにします。
まず補足意見。
泉徳治裁判官
国会の立法意思として準正要件を除いたままでは同項を存続させないであろうという蓋然性が明白である場合は、準正要件を除いた上での適用は許されない。
3条を廃止する意思の場合⇒しかし、そのような意思は生後認知された非嫡出子を現行法以上に差別するものである。
胎児認知された非嫡出子や日本人たる母の非嫡出子にも準正要件を課すこと⇒嫡出・非嫡出子の差別は憲法の平等原則に反する
わが国との密接性を有すると認める新たな要件を課すこと⇒血統主義とは別の観点であるから、蓋然性が高いとはいえない。
今井功裁判官
違憲立法審査権が与えられた趣旨は、違憲の法律を無効とする事で、国民の権利利益を擁護すること
3条1項は単なる立法不作為ではなく、準正子と非準正子を積極的に差別し、立法裁量権を行使している。
多数意見の解釈は国会の立法裁量を拘束しない。
近藤崇晴裁判官
略(今井裁判官とほぼ同意見だとしておきます)
次に意見
藤田宙靖裁判官
3条は原則である2条の例外規定である4条(帰化)の特別類型である。⇒本当は4条の要件を満たさないとだめだけどこの場合は特別に緩やか(?)な要件で国籍取得を認める規定。3条1項は4条以下の要件を緩やかにしたものである(簡易帰化)。
したがって3条1項は過剰な要件を掲げているのではなく、不十分な要件である。
よって、準正要件自体は違憲ではない。
しかし区別自体は違憲。
3条1項を拡張解釈して救済する。
次に反対違憲
横尾和子、津野修、古田佑紀裁判官
国籍要件を定めることは国家の主権作用のひとつであるから、国会の広い立法裁量がある。
3条は2条および帰化の特別類型(簡易帰化である)。
多数意見がいう生活状況の変化は伺えない(データを用いて指摘)
準正要件をなくした諸国は地理的な要因などから国際結婚が多いため(西欧など)、日本と比較するのは相当ではないから、立法の相当性としては考慮しても、憲法適合性において考慮すべきではない。
日本人である母の非嫡出子との差について、非嫡出子は母の親権にある。父と母の違いであって男女の差別ではない。
3条は血統主義を補完するものであって、徹底、拡充するものではない。
父が準正により親権者となると法律上も関係が強固となる。
届出のみの場合は、一律明確な要件にし、それ以外は個別に帰化によることは立法裁量の範囲内。
類型的にわが国との結びつきを認めることが困難な非嫡出子は帰化によることが合理的。
3条1項の準正要件をはずすと立法としては意味不明な条文になる(存在意義?)。
わが国社会との結びつきが殆どなくても国籍を認めることになる可能性がある。
本権のような場合にも違憲審査権が及ぶことは否定しないが、多分に政策的要素をふくむものであり司法権との関係では問題がある。
甲斐中辰夫、堀籠幸男裁判官
3条1項自体は違憲ではなく、立法不作為が違憲
3条の準正要件を違憲とする多数意見は、国籍法が創設的・授権的なものであることを看過している。
立法不作為に対して裁判所が救済として立法類似行為を行うことは解釈の限界を超えている。
一部を無効として一般規定を適用することは解釈として許されるが、本件は一般規定を適用するものではない。
多数意見は「救済をはかり、違憲状態を是正しなくてはならない」との前提に立っているが、司法の使命は中立の立場から客観的に法を解釈し適用することであり、「救済をはかり、違憲を是正することは3条の適用解釈で可能か」という前提に立つべきである。
(それは前述の通り無理だから)国会に委ねるべき。
以上です。
なかなかどの意見も説得力があると思います。
解釈は十人十色であって、最高裁の裁判官レベルになると殆ど文句のつけようがありません。こうなると最終的に何が法の解釈かは、もはや判断不能で(おそらく真理ではないから)、その人のもつ価値観や人生観などが多分に影響していると思います。
非常にたくさんの論点をかかえており、ためになる判例ではないでしょうか。
この判例から、嫡出子・非嫡出子の相続分の差についての事例を考えると今裁判があったら、どうなるか興味深いです。
これにて国籍法違憲判決の話は終了!!
ちなみに立法では、すでにこの判例にのっとって準正規定を削除して、仮想認知を処罰する方向で動いているようです。
はぁ~ぜんぜん勉強できない…

